12/23 (Wed.)

昨日が2015年の仕事納め。一年が経つことののなんと早いことか。そして、僕が何かを証明するスピードがなんと遅いことか。
依頼されていた(かなりレベルの低い)論文のレビューも無事終了し、一月初旬に行くQIP2016のポスター作製も終え、 一応、2015年中に終えないといけない全ての雑務は終了した。

ちなみに、今日から友人夫婦がバルセロナに遊びに来て、26日から3日まではスペイン南部を車で旅行する予定なので、これが年内最後の更新。 特別に何かがあった一年ではないけれど、自分のためにも以下で簡単に一年を振り返っておこうと思う。


2015年、一番大きな出来事と言えば、Hannover -> Tokyo -> Barcelona と移動したことであろう。

Hannoverでの初めてのポスドク生活は、今から思い起こせばせっかくのチャンスを全然活かせなかったという気しかしないけれど、そこでの二年間は当時の自分なりには精一杯頑張っていた。
ボスを含めてグループの人たち数人と共同研究も出来たし、そして、Barcelonaに移籍するきっかけになる結果も出すことができた。 Hannoverにいた頃は研究者として生きていく覚悟が足らなかった気がするし、どういう結果を残せば将来の職に繋がるのかもあまり意識していなかったけれど、それでも最低限の結果を残せたのは 幸運だった。
Hannoverの二年は、研究云々というよりかは、ヨーロッパ(というかドイツ)と日本の違いを学び続けた二年間だったかもしれない。

日本がなぜ保守的で変わらないのか、日本が現在、なぜ停滞するのか、そういう疑問に関して、僕なりの暫定的な答えを得ることが出来たのは二年間の収穫だった。


四月には日本に帰り、東京大学で数か月のポスドク生活を始めた。

日本にいる同期・元同期(つまり協力隊に参加する前の同期)と交流するいい機会だったし、その交流を通じて、日本で職を得るのがどの程度「競争的」なのかを少し理解できたと思う。 ただ、日本での「競争」というのは、大体が「論文を多く書く」「いい論文雑誌に論文を通す」「競争的資金を獲得する」程度の質の低いものでしかなくて、「その分野のdriving forceを生み出す」というものでは ない、ということも、何となく思った。 それは研究者個々人が悪い、という類の問題ではなくて、研究者を取り巻く巨大なシステム(社会全体の価値観を含む)の問題である。

研究者を目指している僕は、望む望まざるにかかわらず、否応なくその「分野の将来的発展には繋がらなさそうな、無為な競争(社会を納得させる言い訳としての競争)」に巻き込まれていく、と考えると、 それだけで満員電車に乗り込む寸前の「俺、ここに乗り込むの?」というストレスを感じる。
そして、日本に蔓延している、多様な意見を一切認めない、悪い意味で断定的な風潮にも嫌気がさす。

ということで、日本にいる間は、研究室のボスも含めていい交流も多かったけれど、ストレスや失望を感じることも多かった。


九月からは、Barcelonaへ。

BarcelonaのグループはまたHannoverとは少し違った感じの、もっとはっちゃけているというか、何と言うかそういう感じ。
Hannoverでの経験を基礎にして、日本で色々な情報をインプットし、今はBarcelonaで「自分の将来のために何をすべきか」という具体的目標を見据えながら研究に励んでいる。 具体的には、世界的にも十分話題になる結果を三つほど出せたし、「正しければ激震が走る」という類のconjectureも幾つか見つけられた(ただし、一つは既に間違っていることが確認された・・・)。

ちょっとマニアックな問題設定なのが玉に瑕(そういうのは日本では認められない)だけれど、ようやく「どこに」「どういう風に」進めば世界に通用するのかということが分かってきた気がする。 ようやく、日本の迷走的かつ自己満足的ロジックから脱出できつつあるというか・・・それが今年一番の収穫。
今後の具体的な方向性も幾つか見えているので、来年に期待だ。

もちろん、言うまでもなくBarcelona lifeも満喫している。 スペインで人生を謳歌しないことは、不可能に近い(そして、経済的思考に支配されつつある日本で人生を謳歌することは、不可能に近い)。
ここのグループの人たちは、Hannoverに比べるともっとオープンなので、僕ももうちょっとオープンになろうと思う。


遂に僕が研究に真剣になり始めたからかどうなのかしらないけど、何となく趣味のボルダリングとか山歩きとかスキーが疎かになってしまった一年ではあった。 せっかくクライミング用品一式を買いそろえたのに、まだ登りに行ってないし・・・・。

この辺りのバランスは、やっぱりクリエイティブな仕事をするためには重要だと思うので、2016年はあまり力みすぎずに研究と趣味を両立していきたいと思う。


2016年は、一体どういう一年になるんだろうか。
特に日本の行く末が心配だけど、正直に言えば、日本は捨てるに値する酷い国だとも思い始めているので、来年は一歩引いた客観的な目で日本を見つめたいと思う。

何はともあれ、皆様に平穏な年末年始が訪れることを祈っています。
僕は無理ですけどね。なんたって、テンション高めのスペイン南部を旅行するので。

それではみなさん、よいお年を。
(ヨーロッパではそろそろ二週間程度のクリスマス・新年休暇に入るからこう書いた訳だけど、日本ではまだまだ師走真っ最中なんだな、と気付いた。それだけで、日本が如何に過酷な国かが理解できるというものだ)

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